…っつー、痛み酷くなってきた。



ソファーに座って洗濯物をたたんでいたあたしはその手を止めてお腹へ手を当てる。
こっちに来る前に生理になってしまって、一応八戒にだけは先に容態を告げておいた。
前みたいに黙っていて心配をかけるよりはいいかと思っていったんだけど、逆に薬が切れていることに気付いた八戒は食事が終わるとすぐに薬局へと出掛けて行ってしまった。

残されたあたしは八戒が用意してくれた毛布に体を包んで部屋で休んでいたおかげで少し楽になった。
その時外で雨が降り出したことに気付いて、庭先で揺れていた洗濯物を慌てて取り込んでたたんでいたら…体が冷えてしまったのか急に痛みがひどくなってきた。

「…しまった。」

八戒が帰って来た時にこんな状態だったらまた心配かけちゃう。
そう思って立ち上がろうとしたけど…あ〜貧血状態になっていて立つ事も出来ない。
がっくりソファーに倒れこんでいたら、部屋で眠っていたはずの悟浄が空のコップを持って居間へやってきた。

チャン、どした!?」

慌ててカップを机に置いてソファーに倒れこんでいたあたしの肩を掴む。

「ちょっとよろけちゃって…」

取り敢えずそういって誤魔化しておこう。
八戒だけじゃなく悟浄にまで心配かけるわけにはいかないもん。

「…ふ〜ん。」

あ、何かばれてるような気がする…なんとなく。

「少し休めば大丈夫だから、後でお茶入れて持ってってあげるよ。」

これ以上話をしてたら自ら墓穴を掘りそうだったから話をそらそうとしたんだけど、あたしが悟浄相手にそんな器用な事出来るわけ無いんだよね。

「お茶はいいや。先にやんなきゃなんねぇコト見つけたから♪」

そう言って悟浄がニヤリと口の端をあげると、ソファーに横になっていたはずのあたしの体が急に浮かび上がった。

「っ!!」

「部屋まで運んでやるよ。動けねェだろ?ンな体じゃ。」

至近距離で楽しそうに笑いながら歩き始めた悟浄は、そう言いながらあたしの部屋とされている場所まで行くと器用にドアを開けた。

「ごっ悟浄!?」

「あんまり暴れると…強引に黙らせちゃうゼ?」

そのまま額がくっつきそうな距離で囁かれて思わず息を止める。



…このまま暴れたら何が起きるか分からない。



そういう思いに駆られてピタリと動きを止めると、満足そうな顔をした悟浄があたしの体をそっとベッドの上に下ろして寝かせると、布団をかけてくれた。

「ちょっとこのまま寝てろナ。」

「あ、うん。」

いつものように後ろ手をヒラヒラ振りながら、扉を開けたまま部屋を出て行った。

「…バレ…た?」

扉に背を向けるように布団の中に潜り込みながら首を捻る。
悟浄には何も言ってない。
食事の時も普通にしてたし、悟浄は直ぐに部屋に戻っちゃったからあたしと八戒の話を聞いてもいないよね。
そんな風に色々考えていたら、不意に体が重く感じて布団から顔を出した。

「八戒がいないから毛布どこにあるかわかんねぇんだよ。帰ってくるまでオレの服だけど…毛布代わりに乗せとくな。」

気付けばあたしが寝ている布団の上には悟浄のシャツが何枚かかけられている。

「一応洗濯済みのヤツ。」

「え?」

「オレの部屋にあるのじゃヤニ臭いだろ。」

ニッと笑って横になっているあたしの頭を撫でる悟浄の顔は…すっごく優しい顔をしてる。
その笑顔を見た瞬間、あたしは気付いてしまった。

「…悟浄、もしかして…」

「ん?」

「あたしの事、気付いて…る?」

最後の方は消えそうな声だったけど、悟浄はさっきと変わらない顔で小さく頷いた。



うわぁっ悟浄にも気付かれてたんだっ!



そう思うと急に恥ずかしくなって布団の中に潜り込みたくなった。
でも重ねられた洋服が案外重くて上手く顔が隠せなかったから、手で隠すことにした。

「ナーニ恥ずかしがってんだよ♪」

だって…

両手で顔を覆っているから、悟浄の顔は見えない。

チャンが立派にいいオンナだって証拠だろ?」

「え?」

「違うか?」

「…」

悟浄の声に顔を覆っていた手を少しずつずらして行くと、隙間からちょっと恥ずかしそうな顔をした悟浄の顔が見えた。

「痛いか?」

「…少し。」

あたしが少しでも具合悪い事に気づくと悟浄も八戒も物凄く優しくしてくれる。
それはまるで子供が体調を崩してしまったのを心配するかのように…。

「さすってやろうか?腰。」

「だっ大丈夫っ!」

「ははっ、そんだけ元気なら大丈夫か。待ってろ、今温かいミルクかなんか持って来てやるから、腰冷やすなよ。」

ポンポンと叩いてから部屋を出て行った悟浄の背を見送りながら、痛みよりも温かな想いに包まれて頬が緩む。

女であれば、ある時期まで必ず訪れるだろう厄介な…もの。
ひとりでいる時は、ただただ辛いだけだった。
でも、ここにいれば…痛みも不調もあるけれど、それを吹き飛ばすだけのものがある。

「…元気になったら、また美味しいお茶いれてあげるからね」





大切な二人に、感謝の気持ちをこめて…





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…すいません、途中まで書いてあったので、無理矢理最後をまとめてしまいましたm(_ _)m
乙女が辛い時に、ぼんやり書いていたんですよねぇ…(苦笑)
勿体無いの神様の声に負けて、こちらも公開…とさせて頂きます。
毎月の乙女に苦しむ皆様の痛みが少しでも和らげば…と思います。